霞がかかっていました。
今日は、以前から行ってみたかった「箱根ラリック美術館」まで小旅行です。
初めての場所、ましてや遠出なのに、いつも通り殆ど情報を入れずに地図を膝に載せお昼過ぎに出発です。今時、カーナビも無し。でも、地図や標識を見ながら、知らない道路を走るのがスリルがあって好きな性質なので、もしカーナビがあってもあまり使わないかもしれません。

車で走る事、数時間…
長い道のりに加えて、くねくねくねくね…ハンドルを右に左に切りながら山道を延々運転し、辿り着いたラリック美術館。
でも、苦労して来た甲斐がありました。
フランスのガラス工芸品の中で、特に「職人芸のバカラ。芸術性のラリック。」と比較し評されるラリックですが、こちらの美術館にはそのラリックの芸術性の高さを思い知らされる作品が、細心の注意を払って展示してありました。しかも、個人所有の美術館。所有者は並々ならぬ熱意とセンスの持ち主のようです。
昨年の春に出来たばかりの美術館の庭園は、まだ作りたてといった雰囲気が漂っており、植物が土地に深く根ざすには少し時間がかかりそうです。
しかし、各コーナーに合わせた庭園造りは大したもので、例えば、オリエント急行の展示物の中から望める庭は、ヨーロッパの林の中を駆け抜けているような気分にさせてくれます。
又、一方でアール・ヌーヴォの展示物の部屋から望める庭園は、アール・ヌーヴォの芸術作品とまるで一体となり、色とりどりの花々が小川の流れにそって植えられていました。
数年後、植物が土地に深く根ざし、苔むしてきたらどんなに素敵でしょう。庭を眺めるためだけにもまた来たいと思ってしまいました。

5年前まで、実際に走っていた、オリエント急行の車両。
ラリックが手がけた車両の室内装飾を眺めながら、お茶とケーキを楽しめる空間になっています。(要予約)
銀のポットにたっぷり入れられた、美味しいコーヒーを楽しみながら、思いはパリか…、はたまたイスタンブールか…

ここに一晩泊まりたいくらいです。寝台車だったら良かったのに。
お茶を楽しんだ後、本題のラリックの展示会場へと向かいました。
まずは、入り口上方から「マスク・ド・ファム(女性の顔)」の女性達がお出迎えです。パネルが3つ並んでいて、相変らずお魚の髪の毛は迫力です。
芸術性の高い香水瓶で有名なラリック。展示品の中にも、かなりの量の香水瓶がありました。それまでは、無骨な薬品の瓶に香水を入れていたと言いますから、ラリックの香水瓶を眼にした当時の女性達はどんなに驚いた事でしょう。
細かい細工を施したアクセサリーの数々も、とても素晴らしいものばかりです。蘭の花などは本当に細かくて、本物と見紛うばかりのものもあります。
また、花器の展示もボリュームがあり、「トゥルビロン(つむじ風)」や「セルパン(蛇)」、そして「バコントゥ(お酒の神様バッカスの周りに集う女性たち)」など、実際に目にして感激でした。
どの展示品にも、時間と共に加わった何とも言えないふくよかな温かみがあり、古い時代のラリック作品の素晴らしさを再認識するのです。
さてさて…
帰り道は来た道とは違い、御殿場へ方面へ向かい山中湖を通り中央高速へと入る道を選びました。
この道筋、実はオリエント急行の中でお茶をご一緒したご夫妻に教えていただいたもの。八王子からカーナビなしで来た私に驚いて、行きとは違う帰り道を伝授してくださいました。
お名前を伺うのを忘れてしまいましたが…
お教えの通りに走ってきたら、迷うことなく無事に帰って来る事ができました。ありがとうございました。
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